「ご承知おきください」は、皆さんも一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか?
しかし、この言葉を目上の人に対して使うのは適切なのでしょうか?また、同じ意味を持つ言い換えは何があるのでしょうか?
本記事では、「ご承知おきください」の意味や言い換えと例文をご紹介します。
ビジネスシーンや日常会話で使えるカジュアルな「ご承知おきください」を言い換えたいときに参考にしてみてください。
「ご承知おきください」の意味
まずは、「ご承知おきください」の基本的な意味を見ていきましょう。
「ご承知おきください」は、一般的には「理解しておいてください」という意味を持つ言葉です。特定の情報を相手に伝え、その情報を理解し記憶しておいてほしいという意図を示します。
一方で、この表現は敬語として使われるため、目上の人や公の場での使用はできますが、言葉遣いには注意が必要で、相手や状況によっては不適切な場合もあります。
「承知」「おく」「ください」それぞれの意味と組み合わさった際の意味
「ご承知おきください」は「承知」「おく」「ください」の3つの要素が合わさった表現です。
- 「承知」は相手が情報を理解し、認識すること。
- 「おく」はその認識した事実を心に留めておくこと。
- 「ください」は相手に対する依頼の表現です。
これらが組み合わさって「ご承知おきください」は、「その事実を理解し、心に留めておいてほしい」という依頼の意味を持つようになります。
ただし、この表現は相手に対する尊敬の意を含むため、目上の人に対して用いるのは適切ではない場合もあります。その使用法については後述します。
言い換えるなら、「そのことを覚えておいてください」や「その事実を認識してください」などが考えられます。
「ご承知おきください」は目上に使える?
「ご承知おきください」は目上に使えるのでしょうか?この表現は、相手に何かを理解したり、覚えておいてほしいときに用いられます。しかし、目上の人に対して使うのは適切ではありません。
なぜなら、「ご承知おきください」の表現は命令形で、相手に対して指示を出すニュアンスが含まれているからです。
目上の人に対しては尊敬の意を示す言葉を選ぶことが大切で、その際には「ご承知いただけますでしょうか」や「ご理解いただけますでしょうか」などの言い換えが適切です。
これらの表現は、相手に対して敬意を示しつつも、必要な情報を伝達することが可能です。
「ご承知おきください」の言い換えと例文(ビジネス)
「ご承知おきください」の言い換えを探すと、多くの選択肢が見つかります。
- ご了承ください
- 今回のプロジェクトは納期が非常に厳しいため、残業が予想されます。ご了承ください。
- ご留意ください
- 申請書の提出は明日までとなっておりますので、ご留意ください。
- ご確認ください
- 添付した資料に最終のスケジュールを記載しております。ご確認ください。
- ご理解いただけますでしょうか
- 変更点について、ご理解いただけますでしょうか
- お含みおきください
- 現在、システムの一部に不具合が生じております。修正までしばらくお含みおきください。
- ご了解ください
- 会議室の利用が急遽変更となりました。ご了解ください。
- ご容赦ください
- 資料の一部に誤りがありました。修正版を後日お送りいたしますので、ご容赦ください。
- ご認識ください
- このプロジェクトの目的と方針を再度確認し、ご認識ください。
- ご把握のほど
- 金曜日は社内研修のため、全員出社が必須となります。ご把握のほどお願いいたします。
- ご了知ください
- 来週からの新しい勤務時間を、社内掲示板に掲示しております。ご了知ください。
- ご注意ください
- システムのアップデート中はログインができませんので、ご注意ください。
- ご承知願います
- 新規の案件が増え、業務が一時的に混雑する見込みです。ご承知願います。
- ご理解のほど
- 原材料の高騰により、商品の価格を一時的に上げざるを得ません。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
- ご参考までに
- 他部署の実績データを添付いたします。ご参考までにご覧ください。
- ご確認の上
- 各自の業務内容を明記した資料を配布いたします。ご確認の上、必要な手配をお願いいたします。
使い分けは状況や相手の立場によりますが、どちらも目上の人に対して使用することが可能です。そのため、適切な言葉遣いで相手に伝えることが求められます。
「ご承知ください」の日常生活で使える言い換えと例文
「ご承知おきください」は日常生活でも使いやすい表現に言い換えることが可能です。例えば、友人に対しては「この件、覚えておいてね」とカジュアルに、また、先生に対しては「この点、ご理解いただけますと幸いです」と丁寧に伝えることができます。
- 分かってね。
「あしたのパーティー、3時からだよ。分かってね。」 - 覚えておいて。
「この道具、返してね。覚えておいて。」 - これ、覚えてて。
「これ、明日の試験に出るから、覚えててね。」 - 覚えてる?
「先週の映画、覚えてる?すごくよかったよね。」 - 記憶しておいてよ。
「このパスワード、絶対に記憶しておいてよ。大事だから。」 - 忘れないで。
「ゴミの日、明日だよ。忘れないでね。」 - これ忘れずにね。
「明日の持ち物、これもあるから、忘れずにね。」 - 覚悟しておいて。
「これ、ちょっと辛いから、覚悟しておいて。」 - 念のため。
「雨が降るかもしれないから、傘を持っていくね。念のため。」 - 念のため言っておくけど、〜。
「念のため言っておくけど、今晩は外食だから、家で夕飯を作らないでね。」 - ちょっとだけ言っておくけど、〜。
「ちょっとだけ言っておくけど、そのケーキ、明日のためのものだから、食べないでね。」 - 要チェックだよ。
「新しいカフェがオープンしてるよ。要チェックだよ。」 - お忘れなく。
「明日のミーティング、10時からだよ。お忘れなく!」 - おーい、これ大事だよ。
「おーい、この書類、提出期限が明日だよ。大事だから。」 - これ、知ってる?
「これ、新しく出たアイス、知ってる?」 - これ、大切だからね。
「このネックレス、おばあちゃんからのもの。大切だからね、無くさないで。」 - 聞いて、これ。
「聞いて、これ。新しい曲、いい感じでしょ?」 - ちょっと頭の隅に入れておいて。
「この店、割引が毎週木曜日にあるんだって。ちょっと頭の隅に入れておいて。」
これらの表現は、相手に対する敬意を保ちつつ、自分の意図をしっかりと伝えることができます。言葉遣いを工夫することで、コミュニケーションが円滑になります。
「ご承知おきください」の英語表現の言い換え
「ご承知おきください」という表現を英語に訳すと、「Please be aware」となります。
これは、相手に何かを認識し、理解してもらうための表現で、特に情報を伝えたり、注意を喚起したりする際に使われます。
例えば、あるルールや規則、変更点などを伝える際に、「Please be aware of the new rules」(新しいルールにご注意ください)などと使用します。他にも「ご承知おきください」の言い換えの英語表現をご紹介します。
- Please be advised.ご承知おきください。
- Please note.ご注意ください。
- Kindly be informed.ご了承ください。
- For your information (FYI).ご参考までに。
- Please be aware.ご留意ください。
- Please acknowledge.ご確認・ご了承ください。
- Let it be known.皆様にお知らせします。
- Take note of the following.以下の点をご注意ください。
- We’d like to bring to your attention.ご注意いただきたい点があります。
- It has come to our attention.当方にも情報が入っております。
ただし、文脈やニュアンスにより適切な表現は変わるため、具体的な状況に応じて適切な英語表現を選びましょう。
ビジネスシーンで「ご承知おきください」を活用する方法と例文
ビジネスシーンで「ご承知おきください」を上手に活用するためには、相手が自分の意図を理解し、その上で行動してもらうことを要請する場面で使用するのが適切です。
例えば、「プロジェクトの進捗について、ご承知おきください」という具体的な文脈で使うと、相手に対して明確に情報を理解し、それを念頭に置いて行動を起こすことを求めることができます。
- 例文
- 来月の第三週には出張を予定しておりますので、その間の業務を他の方にお願いすることを、ご承知いただけますでしょうか。
- 例文
- 現在のプロジェクトの進捗について、明日の会議での報告を予定しております。ご承知いただけますでしょうか。
- 例文
- 昨日お送りした資料には一部修正が必要となりました。修正版を今晩中にはお送りいたしますが、ご承知いただけますでしょうか。
- 例文
- 予算の件で一部変更の提案をさせていただきたく存じます。ご承知いただけますでしょうか。
- 例文
- 新しいシステムの導入について、来週からのテスト運用を考えております。ご承知いただけますでしょうか。
「ご承知おきください」は目上に使える?意味と言い換えと例文のまとめ
「ご承知おきください」は、相手に何かを理解してもらい、覚えておいてほしいときに用いる表現で、特にビジネスシーンで頻繁に使われます。しかし、目上の人に対して使うのは適切かどうか疑問に思う方も多いでしょう。
結論から言うと、敬意を示す表現としては不適切な場合が多いので、目上の人に対しては避けた方が無難です。
言い換えるとすれば、「ご確認ください」や「ご了承ください」などが適切です。
これらの表現は、相手に対する敬意を示しつつ、自分の意図を伝えることができます。これらの知識を活用して、より適切なコミュニケーションを心掛けましょう。