「初穂料や玉串料って、聞いたことはあるけど違いが分からない」
「初穂料と御初穂料はどっちが正しい?」
「祈祷料と初穂料は違うの?」
と困ったことはありませんか?
私自身、子供の七五三で神社にどうやってお金を渡せばよいか分からず、戸惑った経験があります。
当時は義母に教えてもらい、事前に準備をすることができたので、当日はスムーズにご祈祷を受けることができました。
この記事を最後までお読みいただければ、神社やお寺に納めるお金について理解が深まり、お宮参りや厄除けの時も慌てずに準備ができますよ。
初穂料と御初穂料はどっち?違いはある?
この二つはよく似ていて、どちらを使えばよいのか悩みますよね。
実は同じものを指していて、丁寧に「御」をつけるかどうかの違いなのです。
お金はのし袋に入れて渡しますが、その際、表書きは「御初穂料」と書くのが正式とされているようです。
確かに、のし袋には「御礼」「御祝い」「御霊前」など、「御」がついているものが多いですよね。
神様に奉納するお金には、敬意を表す「御」をつけて、礼儀正しくお納めした方が良さそうな感じがします。
しかし、最近は「御」をつけないケースも増えています。
色々な神社のホームページを比較したところ、「初穂料」と「御初穂料」を併記して案内しているところが多い印象でした。
また、YouTube動画「宮崎神社のはるちゃんねる」で、現役神主さんが『「初穂料」と書いてお納めください』と言っていたので、実際はどちらを使っても支障はないでしょう。
のし袋には、最初から表書きが印刷してあるものも売られています。購入したものに「御」がついていなくても、自分が気にならないのであれば使用して大丈夫ですよ。
初穂料とは?どんな場面で使う?
これは神社でご祈祷をお願いする際に、神様にお供えするお金を指します。神社に納めるもので、お寺では使いません。
なぜ初穂料とよばれるのか、まずはその歴史から見ていきます。
日本では古来より、その年に初めて実ったお米(稲穂)を神様にお供えする風習があり、そのお米を「初穂」といいます。
農作物や魚などの初物を奉納して、無事に収穫できたことを神様に報告し、感謝の気持ちを表したのです。そして、五穀豊穣を願ったそうです。
しかし、初物は収穫時期が限られ、生産者でない人が用意するのは困難なため、貨幣の流通とともに、代わりにお金を供えるようになりました。
こうした風習が残り、神前に捧げる金銭を「初穂料」と呼ぶようになったのです。
次に、どのようなシーンで使われるのかを解説していきます。
初穂料は神様への感謝を表すお供えもののため、慶事に使い、反対に弔事には向かないとされています。
具体的には、神式の結婚式、七五三、お宮参り、安産祈願、合格祈願、地鎮祭、厄除けなどで使われます。
また、お守りやお札など値段にも用いられ、授与所には「初穂料×××円」と書かれています。
お金を納めるときのマナーとして、のし袋に入れて渡すのが失礼のない方法です。のし袋の上段には「御初穂料」、下段には祈祷してもらう人の名前を書いておきます。
のし袋の水引は目的によって異なるため、間違えないようにしましょう。
お宮参りや七五三など、何回あっても良いお祝いや祈願には蝶結びの水引を、結婚祝いは結び切り、またはあわじ結びの水引を使います。
蝶結びは紐がほどけても結び直せるので、何度繰り返しても良い祝い事に、結び切りは紐がほどけないことから、一度きりの儀式に用います。
玉串料とは?どんな場面で使う?
こちらも神様にお供えするお金で、神社に納める時に使います。
まずは由来を見てみましょう。
「玉串」とは、榊(さかき)の枝葉に紙垂(しで)という白い紙をつけたものです。
神道では榊には神様が宿ると考えられ、その榊で作られた玉串を神前に奉納します。
本来、玉串は祈願をする人自身が捧げるものですが、時代の流れから用意することが難しくなり、初穂料と同じく、代用として金銭をお供えするようになりました。
神様へお供えするお金という点は同じですが、玉串料は神道のお通夜や葬儀など、弔事でも使われます。
玉串に思いを込めて神様に捧げることで、故人を供養することになるのだそうです。
また、葬儀における玉串料には、二つのケースがあります。
一つは、喪主から神社へ納めるもの。
もう一つは、参列者から喪主へ渡すケースで、こちらは仏式のお香典にあたります。
納める時は、弔事の場合は不祝儀袋に入れ、水引は黒白か双銀の結び切りを使います。
表書きは、「御玉串料」とします。
祈祷料とは?どんな場面で使う?
こちらも似たような言葉ですね。まずは「祈祷」がどういうものなのかを見ていきましょう。
祈祷とは、願い事を神様や仏様に伝え、それが叶うよう祈りを捧げる儀式をいいます。
神社であれば、社殿の中に入り、祈願の内容に沿った祝詞を神主さんに上げてもらったり、神前に玉串を供えたりします。
このような儀式は、厄払いなどで経験のある人もたくさんいるかと思います。
お寺においては宗派による違いはあるようですが、護摩木という薪を焚き上げ、僧侶が読経を行ったり、火の中に供物を投げ入れて仏様の供養を行い、願いが届くように祈ったりします。
これらの儀式の謝礼が祈祷料です。神職や僧侶への謝礼と考えれば、「初穂料」や「玉串料」と区別し易いかもしれません。
初穂料と玉串料と祈祷料の違いは?
ここからは、用途の違いについて解説します。
初穂料は神様に奉納するお金で、神社で行う祭事や願い事、厄除けの際に用います。
神主さんなどの神職にお礼をする時は、祈祷料として納めます。
玉串料には二つの用途があり、一つは慶事のご祈祷、もう一つは、神道のお通夜やお葬式などの弔事です。
葬儀でも使われるので、お祝いやお願い事では玉串料は避け、初穂料と書く人が多いようです。
祈祷料は神職への謝礼の他に、お寺で祈祷を頼む時にも使用しますが、作法に違いはあるのでしょうか。
次から解説していきますね。
お寺の場合は初穂料ではない?
お寺で祈祷を依頼する場合は祈祷料やお布施として納めます。
お金はのし袋や封筒に入れ、表書きは「御祈祷料」または「御布施」とします。
のし袋はお祝い事では神社と同様ですが、葬儀などの仏事で僧侶に渡す場合は、奉書紙という和紙に包むか、白い無地の封筒に入れましょう。
なお、お寺でのご祈祷には注意点があります。
土地の風習によって「初穂料」を使うお寺もあることや、浄土真宗のように、祈祷を行わない宗派があるのです。
事前にこの点を確認し、準備をすると安心ですね。
また、仏事における作法は宗派によって様々で、喪主などの当事者になると、作法が分からず不安になることがあるかもしれません。
しかし、最近は葬儀社を通して執り行うケースが主流になっており、分からないことは係りの人が教えてくれるので大丈夫です。
私も親の葬儀で初めて喪主を務めた際、葬儀社の担当者が一つ一つ丁寧に教えてくれましたので、滞りなく終えることができました。
心配なことがあったら、お寺や葬儀社などに直接聞いてみましょう。
初穂料と御初穂料はどっち?玉串料や祈祷料の違いとは?まとめ
最後にポイントをおさらいします。
- 初穂料:神社で慶事のご祈祷をするときに納めます。表書きは「御初穂料」がベターです。
- 玉串料:神社での慶事のご祈祷の他、お通夜やお葬式などで使い、表書きは「御玉串料」と書きます。
- 祈祷料:
- 祈祷をしてもらう際の謝礼金で、神社は「御祈祷料」、お寺は「御祈祷料」もしくは「御布施」とします。
これらはあまり馴染みのない言葉なので、使い分けが難しいですよね。
しかし、お宮参りや七五三などは、人生の節目で多くの人が経験する儀式です。
由来や作法を知っておくと慌てずに準備ができ、厳かな気持ちで当日を迎えられるでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。